
乗客乗員520人が犠牲になった1985年の日航ジャンボ機墜落事故。発生から41年を控えた7月、事故で夫を亡くした谷口真知子さん(78)は墜落現場となった群馬県上野村の村立上野小で自作絵本の朗読会を開いた。同小での朗読会は初めてで、谷口さんは特別なことがない日常や命の大切さを、事故当時を知らない世代にも知ってほしいとしている。
朗読した絵本は「パパの柿の木」。事故の2カ月後、夫の正勝さん=当時(40)=が自宅の庭に植えた柿の木に初めて実がなり、母子3人が前を向くきっかけになった実話を基に書いた。谷口さんは2016年に自費出版して以来、各地で読み聞かせを続けてきた。
谷口さんは朗読会で、「つらくて、悲しい冬の時代は誰にでもある。それでも前を向いて歩けば、また笑顔になれる」と思いを届けた。いずれも6年生の熊谷奏太さん(11)は「家族がいなくなったら精神的につらいと思った」と振り返り、清水希美さん(12)は「家族との会話を増やして、日常生活を大切にしたい」と話した。
東京都内から山村留学で来ている6年の発地隆太さん(12)は「事故について調べたことはあるが、実際に話を聞かないと分からないことがあった」と話した。谷口さんは「事故後一生懸命生きてきて、気付いたらこの年になった。ありきたりな日々や命の大切さをいつまでも訴えたい。ただそれはできないので、絵本を通じ子どもたちが思いを引き継いでくれたらうれしい」と話している。
慰霊登山を毎年続ける谷口さんは、朗読会を開いた日も、墜落現場の「御巣鷹の尾根」に登った。正勝さんの墓標には好物だったビールなどを供え、上野小で朗読会を行ったことを報告し、「これからも家族を見守ってね」と語り掛けた。
【時事通信社】
〔写真説明〕上野小の児童らに、絵本「パパの柿の木」を読み聞かせる谷口真知子さん=7月8日、群馬県上野村
2026年08月12日 14時33分