決め手欠く主要2陣営=かすむ争点、無党派に訴え―沖縄知事選まで1カ月



9月13日の沖縄県知事選投開票まで1カ月となった。現職で3選を目指す玉城デニー氏(66)と、自民党が推す新人で前那覇市副市長の古謝玄太氏(42)の事実上の一騎打ちとなる見通し。争点がかすむ中、両陣営とも支持拡大の決め手を欠き、「県民党」を掲げて無党派層への浸透を急ぐ。

「もはや『基地か経済か』が問われる時代ではない」。玉城氏周辺は県内の情勢をこう語る。

主要争点の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設は、2018年末の土砂投入開始以降「既成事実」化が進む。県経済は旺盛な観光需要を背に比較的好調。移設反対を堅持する玉城氏も、訴えの主軸は医療や福祉などに置く。

玉城氏を支えてきた「オール沖縄」勢力の退潮は鮮明だ。今年2月の衆院選では中道改革連合の結成などで足並みが乱れ、県内4選挙区で移設反対派が自民候補に全敗。玉城氏は今回、政党に推薦を求めず、党派色を薄める戦術を取る。事務所開きでは学生や子育て世代の女性を前面に出し、今月10日の集会で玉城氏は「皆さんと共に歩むリーダーを目指す」と県民主体をアピールした。

陣営はSNSの発信にも力を入れる。ただ、辺野古沖で3月に「平和学習」中の船が転覆し、女子高生らが亡くなった事故を受け、ネット上では玉城氏への中傷も相次ぐ。陣営幹部は「かつてなく厳しい選挙だ」と警戒を強める。

古謝氏は元総務官僚。経済界が擁立を主導した。自民の他に日本維新の会、国民民主党、参政党の推薦を取り付け、13日には公明党県本部からも推薦を得た。一方で距離感には神経をとがらせており、推薦の順番に配慮し、自民が先行しないようにした。

「ウイングを広げなければ勝てない」。自民県連幹部はこう分析。集会では企業経営者らが積極的に登壇している。

念頭にあるのは経済界を軸に「県政不況」批判で幅広い支持を集め、稲嶺恵一知事を誕生させた1998年の知事選だ。当初は優勢とみられた大田昌秀氏の3選を阻んだ。

今回、打ち出したのは「手取りを2倍に増やす」政策。陣営関係者は「分かりやすさを重視した」と明かす。

ただ、「県民にかつてのような不況の実感はない」(自民県議)のも事実だ。古謝氏は今月5日の集会で「政府と交渉する県政を実現する」と強調。県政の「停滞感」や国の沖縄振興費の落ち込みを突くが、「2倍政策」の実現性を疑問視する声は支持者からも上がる。

知事選には下地幹郎元衆院議員(64)らも立候補を表明した。下地氏はかつて自民に所属していた。米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添市移転に「反対」を表明したが、自民関係者は「古謝氏の方が影響を受ける」とみている。

【時事通信社】 〔写真説明〕新たな区域に土砂が投入された大浦湾=6月17日、沖縄県名護市辺野古沖 〔写真説明〕地盤改良工事で海底にくいを打ち込む作業船=2025年1月、沖縄県名護市辺野古沖

2026年08月14日 07時06分


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