防衛力強化、恒久財源見えず=消費減税・積極投資と奪い合い



年末の安全保障関連3文書改定に向けた検討では、防衛力強化の裏付けとなる恒久財源の確保が焦点となる。「責任ある積極財政」を掲げる高市早苗首相は食料品の消費税減税や戦略分野への集中投資も進める方針。兆円単位で財源の奪い合いとなる見通しだ。国債発行に頼れば市場の信認を失いかねず、難しい判断を迫られる。

「国債発行を前提とせず、安定財源を確保すべきだ」「増税も排除すべきでない」。27日に首相官邸で開かれた3文書改定の有識者会議では、出席者からこうした声が上がった。

防衛費は2025年度に関連経費を含めて約11兆円となり、目標の国内総生産(GDP)比2%を達成した。ただ、中国、北朝鮮、ロシアの連携など日本の安保環境は厳しさを増す。同盟国を「安保ただ乗り」と批判するトランプ米政権はGDP比3.5%を主張する。

従来、基準となってきたGDPは22年度の約560兆円。国際通貨基金(IMF)の推計によれば、これが26年に4兆3419億ドル(約685兆円)となる。GDP比2.5%の場合は約17兆円、同3.5%なら約24兆円まで膨らむ計算だ。

さらに、円安により米国産装備品の調達価格は上昇している。

高市政権は来年4月から2年間、食料品の消費税率を1%に引き下げる方針で、必要な財源は約10兆円に上る。40年度までに半導体や人工知能(AI)など17分野に官民で370兆円超の投資を行う意向も表明した。

政府・与党内には税収の上振れ分を防衛力強化に充てる案がささやかれる。ただ、政権幹部は「上振れは恒久財源ではない」と否定的だ。

法人税増税に解を求める声もあるが、経済界は反対の立場。経団連の筒井義信会長は20日の記者会見で「投資拡大の流れに水を差しかねず、国際競争力の観点からも望ましくない」と明言した。歳出改革には限界があり、「行き着く先は国債」(自民党ベテラン)とみる向きは多い。

関係者によると、首相は消費税減税の財源確保を優先し、防衛財源の議論は政府内で遅れている。政権幹部は「頭が痛い」と吐露。首相周辺も「打ち出の小づちみたいに財源が出てくるわけがない」と苦しい事情を認めた。

【時事通信社】 〔写真説明〕公開された長射程ミサイル「12式地対艦誘導弾能力向上型」の発射装置=3月17日、熊本市の陸上自衛隊健軍駐屯地

2026年10月28日 07時07分


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