高市早苗首相による「台湾有事」発言から1年。中国政府が講じた輸出管理強化や訪日自粛要請による悪影響が、じわじわと日本経済に及んでいる。日本の経済界は、首相に習近平国家主席との対話を試みるよう求めつつ、訪中団の派遣などによる民間外交を通じて、両国間の緊張を和らげようと働き掛けを続ける。
昨年11月に高市首相が国会答弁で、台湾有事が「存立危機事態」に該当し得ると言及したことに対し、習政権は激しく反発。自国民に日本への渡航抑制を通知したほか、世界最大の生産量を誇るレアアース(希土類)を含む軍民両用(デュアルユース)品目の輸出管理を強化した。
日本政府観光局(JNTO)によると、今年1~9月の訪日観光客は前年同期比2.9%減だった。中国からの訪日客が半減した。アウトドア衣料などを展開するゴールドウインは9月中間決算の記者会見で、中国人観光客向けは「2~3割の減収が続いている」と説明した。
赤沢亮正経済産業相はレアアースについて「産業界から安定調達に関する懸念の声がある」との認識を示す。政府は民間企業と連携し、国家備蓄の活用や供給源の多角化で打撃を抑える方針だ。
民間用途と軍事用途のどちらでも活用できる軍民両用品を巡り、日本企業は計40社が輸出を原則禁止された。三菱重工業の伊藤栄作社長は「手続きが増えるといった影響も出ている」と説明。原則、年2回開いていた日中両政府の輸出管理対話も昨年9月が最後。打開の糸口が見えない。
経済界では、経団連が11月中旬に計画していた中国への訪問団派遣は延期になったものの、関経連は年末に訪中を予定する。日本商工会議所の小林健会頭は「政治・外交だけでなく、いろんな方角からやっていくことが必要だ」と述べ、地道に接触を試みる考えを示した。
経団連の筒井義信会長は6日、記者団に「重層的な意思疎通に努めねばならない。政府もそこに向けて努力を払っていただきたい」と語り、政府による対応を要望した。
【時事通信社】
2026年11月07日 08時04分
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