相次ぐ不正アクセスを受け、企業がサイバーセキュリティー対策の強化を急いでいる。政府は6日、緊急対策として官民一体で支援する方針を打ち出した。ただ、人材や資金面で余力の乏しい中小企業には「何を優先したらいいのか」といった懸念も広がる。人工知能(AI)を悪用して進化し続ける攻撃への対処に終わりはない。
「これからも一定程度の投資、コストをかける」。NTTの島田明社長は4日の決算記者会見で、サイバー防御の強化を続ける意向を示した。自社システムの脆弱(ぜいじゃく)性を攻撃者に先んじて見つけるため、先端AIの「アクセス権」取得の動きも金融機関などに広がっている。
中小企業の不安も大きい。大阪市のプラスチック製品メーカーでは、ここ数週間で最新版に更新していないソフトなどが数多く見つかったという。幹部は「従来の対策が甘すぎた。今ほどサイバー対策に時間と金をかけたことはない」と話す。
緊急対策では、脆弱性の放置や不要な個人データの保持といった「基本的な対策の不備」を、被害拡大の一因として挙げた。インターネットイニシアティブの谷脇康彦社長も6日の記者会見で、「(重要なのは)全く新しい対策よりも基本動作となる対策をきちんと打つこと」と強調した。
ただ、サイバー攻撃は今後、システムの弱点を突くだけでなく、製造設備などに物理的被害をもたらす可能性も指摘されている。ばねの製造を手掛けるフセハツ工業(大阪府東大阪市)の吉村篤社長は「(対策を)やり出したらきりが無い。何を優先したらいいのか」と胸の内を明かす。政府にはより柔軟できめ細かい目配りが求められる。
【時事通信社】
2026年11月07日 08時05分
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