
NHK経営委員会は8日、来年1月に任期満了を迎える稲葉延雄会長(75)の後任に、井上樹彦副会長(68)が昇格する人事を決めたと発表した。同25日付で就任し、任期は3年間。井上氏は政治部出身で、正式に就任すれば約18年ぶりの生え抜き会長となる。NHK会長は2008年に橋本元一氏が退任して以来、外部登用が続いていた。
NHK会長の選任は、最高意思決定機関の経営委員会が権限を持っている。井上氏の昇格は賛成9、反対3の賛成多数で決定した。古賀信行委員長は8日に記者会見し、人選の理由について「NHKの現状に理解がある人が良いと考えた」と説明した。
井上氏は政治部長や子会社社長などを経て23年に副会長就任。会長任命を受けて同日、「人材育成や受信料収入維持などの難題に総力戦で立ち向かう」とのコメントを発表した。
NHKは、内部登用の海老沢勝二氏や橋本氏が会長を務めた時代に職員の不祥事が続発したほか、組織の肥大化に批判が集中。橋本氏の後は経済界出身者が6人続き、受信料値下げや衛星放送削減などの改革が進められた。
井上
樹彦氏(いのうえ・たつひこ)早大一文卒。80年NHK入局、政治部長、編成局長、理事、放送衛星システム社長などを経て23年2月NHK副会長。福岡県出身。
〔写真説明〕井上樹彦
NHK次期会長(NHK提供)
2025年12月09日 12時43分