次期FRB議長、「忠誠」がカギ=最有力は側近ハセット氏―米大統領



【ワシントン時事】トランプ米大統領は連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長に関し、政権で経済政策の調整役を担うケビン・ハセット国家経済会議(NEC)委員長が最有力候補であることを強く示唆した。ハセット氏は第1次政権でも要職を務めたトランプ氏の側近。思うように利下げに動かないFRBにトランプ氏がいら立つ中、「忠誠」が議長選びのカギとみられる。

「ここに将来のFRB議長がいる」。トランプ氏が2日、ホワイトハウスでの会合でそう言うと、居合わせた関係者が一斉にハセット氏の方を向いた。次期議長として名前が頻繁に挙がるハセット氏に「お墨付き」を与えたと受け止められた。同氏が最有力候補となった瞬間だった。

ベセント財務長官がハセット氏を含め、ウォーシュ元FRB理事ら5人に候補を絞り込む一方で、トランプ氏は早くからハセット氏に決めている節がある。先月、次期議長について記者団に問われ、「自分の選択は分かっている」と応じた。

自身に近い人物をあからさまに選ぶ背景には、1期目で指名したパウエル現議長への強い不満がある。トランプ氏はパウエル氏の利下げ判断が「いつも遅過ぎる」と繰り返し批判。「愚か」とののしり、解任すらちらつかせた。パウエル氏を推挙したムニューシン元財務長官にまで、SNSで「負け犬を押し付けた」と矛先を向けた。

ハセット氏は第1次政権の大統領経済諮問委員会(CEA)委員長。その後も、トランプ氏娘婿のジャレッド・クシュナー氏の投資会社に関わるなどトランプ氏「周辺」に居続けた。「平凡だが信用できる、保守のエコノミスト」(米有力紙記者)で、忠誠心の面でトランプ氏の「お眼鏡」にかなったようだ。

ただ、ハセット氏が議長に就任すれば、トランプ氏との近さは、FRBの独立性や金融政策の信認に対する疑念に直結する。先月の米テレビ出演で、候補の中で最も政権から独立していないと評され、ハセット氏は「議長の仕事は100%、独立し経済指標に基づいて行われる。今はホワイトハウスで毎日大統領に仕える、違う仕事だ」と反論した。ただ、懸念の払拭には程遠く、今後もトランプ氏との関係が問われ続けそうだ。

【時事通信社】 〔写真説明〕トランプ米大統領の隣で話すハセット国家経済会議(NEC)委員長=3日、ワシントン(AFP時事)

2025年12月06日 20時31分


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