米司法省の捜査対象となった連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長に世界各国の中央銀行総裁が支持を表明する中、日銀が静観を決め込んでいる。中銀の独立性尊重やパウエル氏との「連帯」を訴える共同声明に、日銀の植田和男総裁は加わらなかった。トランプ米政権との関係を重視する日本政府に配慮した可能性がある。
トランプ米大統領はかねてパウエル氏に大幅な利下げを要求しており、捜査着手で圧力を強めた格好だ。金融政策運営がゆがめられればドルの信認低下などを招き、金融市場で不測の事態が起きかねない。
露骨な政治介入に対し、欧州など主要中銀の総裁は13日に「FRBおよびパウエル議長と完全に連帯する」との声明を公表。「中銀の独立性は物価、金融、経済の安定における基盤だ」と危機感を表明した。声明には欧州中央銀行(ECB)のほか、英国、スイス、オーストラリア、カナダ、韓国、ブラジルなどの中銀総裁が参加。インドネシア中銀が新たに加わるなど、支持の輪は10を超える中銀・機関に広がっている。
一方、参加していない日銀は「他国の中銀などの対応についてコメントすることは差し控える」(広報担当者)と回答。「中銀の独立性は物価の安定を実現するため重要であると認識している」(同)としながらも、具体的な行動は示さず、距離を置いている。
元日銀審議委員で野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「日銀は政府から完全に独立しているわけではない」とした上で、「(声明に加わることで)日米関係が悪化しては大変だという思いがあるのではないか」と指摘。「共同声明に参加できないのは非常に残念だ」と話した。
2026年01月17日 07時15分
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