政府は原発の「最大限活用」を掲げ、再稼働を目指す電力各社の取り組みを支援してきた。それだけに、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働実現は「政策的意義が大きい」(経済産業省関係者)とみている。だが、停止中の中部電力浜岡原発(静岡県)で今月発覚したデータ不正は原発の安全性への信頼を揺るがす事態となっており、再稼働を推進する政府の前にはなお難路が続く。
政府は2011年の福島第1原発事故以前、原発を二酸化炭素(CO2)が出ない「低炭素電源」と位置づけ、積極的な推進をうたっていた。しかし、その方針は事故後に一変。民主党政権時代の12年には「30年代に原発稼働ゼロ」を打ち出し、事故前に30基以上動いていた国内の原発は一時、全て停止した。
その後、第2次安倍政権で「原発ゼロ」政策は見直され、25年のエネルギー基本計画では14年以降堅持してきた「可能な限り依存度を低減する」との表現も削除。原発を最大限活用し、再稼働と建て替えを推進する方向にかじを切った。
政府は特に、首都圏への電力供給を担う柏崎刈羽の再稼働を重視し、他の原発とは異なる「特別扱い」で実現を後押ししてきた。事故を起こした東電が再び原発を動かすことに地元の不安が残る中、周辺自治体への財政支援の対象地域を拡大。再稼働への理解に努め、新潟県の花角英世知事と県議会から容認の判断を引き出した。
だが、これを契機に他の原発でも再稼働の動きが加速するかは不透明だ。今月5日には中部電で浜岡原発の地震想定データの不正が発覚し、原子力規制委員会が再稼働に必要な審査を「白紙」とする事態に陥った。
原発に対する厳しい視線は、電力業界全体に注がれている。政府は40年度の電源構成での原発の割合を現在の2倍以上の2割程度とする目標を掲げるが、データ不正問題の影響もあり、今後再稼働を目指す原発の地元同意手続きは難航が予想される。
2026年01月22日 07時09分
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