
【北京、ワシントン時事】トランプ米政権が発足後、米中両国は昨年春に激しい通商戦争に突入した。中国は米政権の関税引き上げに、原則として同じ規模の関税引き上げで対抗。互いの関税はその後、大幅に引き下げられたものの、両国の貿易は依然低迷したままだ。相互不信の渦が両国を覆っている。
「米国は信頼できない。中国は『自立自強』を進めるだけだ」。北京の中国共産党幹部は昨年12月、記者にこうこぼした。中国は国内で人工知能(AI)などハイテク産業の発展にまい進。貿易構造の多角化も推し進めた。
両国は昨年春に一時、相手国産品を標的に100%を超す高関税合戦を展開。世界的に懸念が広がる中、5月から閣僚級貿易協議を始め、段階的に相手国に対する関税を引き下げた。10月末には緊張緩和に向けてトランプ大統領と習近平中国国家主席による首脳会談を開催。米国の対中追加関税は20%まで大きく低下し、中国の対抗追加関税も一律分は10%まで下がった。
元米政府高官は、トランプ政権の対中姿勢について「関税による中国への影響力はほぼ失われているものの、安定的な関係を保ちたい強い願望はある。それが可能かどうかは、今後の行方次第だ」と分析する。米国側の交渉責任者であるベセント財務長官は「米中関係ははるかに安定している」と強弁するが、懸念は尽きない。
中国貿易統計によると、12月の対米貿易総額(ドルベース)は前年同月比で29.7%減と、2025年を通して2番目に大きなマイナス幅を記録。一方、インドや中南米、アフリカとの貿易は2桁増だった。「中国の『脱米国』が予想以上のスピードで進んでいる」(北京の欧州外交筋)といった見方も上がっている。
中国はこの1年で、米国に対し、ハイテク製品に欠かせないレアアース(希土類)の輸出規制措置など関税以外の手段でも圧力を加えた。世界最大の産地である中国が資源を囲い込むリスクが高まり、日本や米国は26年1月、レアアースの対中依存度の低減を目指す方針を確認した。
【時事通信社】
〔写真説明〕トランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席=2025年10月、韓国・釜山(AFP時事)
2026年01月18日 07時03分