原油高、利上げ判断に難しさ=インフレと景気悪化、両にらみ―日銀



中東情勢緊迫化に伴う原油価格の高騰を受け、日銀の追加利上げを巡る判断が難しさを増している。原油価格が大幅に上昇すると、幅広い商品やサービスで値上げの動きが広がってインフレ圧力が強まる一方、個人消費が冷え込んだり、企業が設備投資を控えたりして景気が悪化しかねないためだ。日銀はこれまで着実に金融正常化を進めてきたが、インフレリスクと景気悪化の両にらみとなり、先行きが見通しにくい状況となった。

「インフレの抑制と景気の下支えのどちらに重点を置いて政策運営するか、一概に答えるのは難しい」。植田和男日銀総裁は19日の記者会見で、原油高という供給ショック型のインフレへの政策対応は複雑で、一筋縄にはいかないと説明した。

焦点は米国やイスラエルのイラン攻撃が短期間で終了するかどうかだ。日本の原油輸入は中東への依存度が高く、イランへの軍事行動が長引けば、物価高の下で景気が低迷する「スタグフレーション」に陥るリスクもある。

2026年春闘では、深刻な人手不足を背景に、大手企業で労働組合の要求への満額回答が相次いでいる。ただ、円安や原油高が長引き収益を下押しすれば、中小企業の賃上げの勢いが鈍りかねない。

ある日銀幹部は「イラン攻撃からそれほど時間が経過しておらず、現時点で経済や物価にどの程度の影響が出るのかは判然としない」と指摘する。日銀は4月下旬の金融政策決定会合で、最新の景気予測である「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を取りまとめる。追加利上げ路線を維持できるのか、中東情勢の展開がカギを握る。

〔写真説明〕金融政策決定会合を終え、記者会見する日銀の植田和男総裁=19日午後、日銀本店

2026年03月20日 07時06分


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