
【北京時事】中国が原油輸送の要衝ホルムズ海峡の封鎖に危機感を強めている。同海峡がある中東産原油への輸入依存度は5割程度とされ、日本の9割超より低いものの、封鎖が長期化した場合の打撃は必至。ガソリンの輸出制限など異例の対応にも乗り出した。
「中国は一部エネルギーを中東に依存しており、短期的に影響が出る可能性がある」。米イスラエルによるイラン攻撃が始まった直後の3月上旬、中国国有石油大手系の中国石油ニュースセンターがこのような分析記事を掲載した。石油業界に対し「さまざまな不測の事態に備える必要がある」と警鐘を鳴らしている。
湾岸産油国の国営石油会社関係者によると、今年に入り、原油の輸出拡大に関する中国からの問い合わせが増えた。中国税関総署によれば、1~2月の原油輸入量は前年同期比で15.8%の大幅増となっており、中東情勢の悪化を見越して買い増しを進めた可能性もある。
ロイター通信は、中国政府がガソリンや航空用燃料の輸出や備蓄石油の取り崩しを制限したと伝えた。ロシア産原油の調達拡大を模索しているほか、イランとはエネルギーの安定供給に向けた協議を加速。米ブルームバーグ通信によると、中国はホルムズ海峡を通る石油タンカーなどの運航を妨害しないようイランに要請した。イランはその後、中国に向かう船舶については安全な通過を保障しているもようだ。
中国はエネルギー安全保障の強化に向け、原油の中東依存低減や国内の石炭開発加速、再生可能エネルギーの普及に積極的に取り組んできた。日本のエネルギー業界関係者は「中国は日本と比べればましな状況のはずだが、危機感は相当強い」と指摘した。
政府は今月開催した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で採択した第15次5カ年計画(2026~30年)に、石油や天然ガスの代替エネルギーとなる石炭の増産を「必達目標」として盛り込んだ。再生エネの利用を増やす方針も決定。李強首相は演説で「食料とエネルギーの生産(引き上げ)を安全保障の二つの指標にする」と強調した。
〔写真説明〕中国黒竜江省大慶の原油採掘現場=2025年8月
2026年03月21日 07時08分