原油輸送、代替ルートを模索=ホルムズ封鎖で、政府や海運会社―喜望峰回り、コスト倍増も



中東情勢の緊迫化で、原油輸送の要衝ホルムズ海峡の事実上の封鎖が長引く中、中東産原油の輸送に当たって同海峡を通過しない代替ルートの模索が進められている。一方、政府や石油業界は原油調達先の多角化を検討しており、海上輸送を担う海運会社は中東以外からの輸送についても要請があれば、対応する構えだ。

日本は原油輸入の9割以上を中東に依存。ホルムズ海峡を通過せずに輸送できる中東の港は、輸送能力は限られるが、パイプラインがあるサウジアラビアの紅海側に位置するヤンブー港や、同海峡から外海に出てすぐの場所にあるアラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラ港が挙げられる。

実際、先月28日にはヤンブーからの原油を積んだタンカーが愛媛県に到着。紅海からアラビア海に出るバベルマンデブ海峡を通り、マレーシアでの積み替えを経て日本に届けられた。

紅海ルートと呼ばれるこの航路の輸送日数は、20日程度かかるホルムズ経由とほとんど変わらない。ただ、同海峡はイエメンの親イラン武装組織フーシ派から攻撃を受ける危険性があり、日本の海運会社は以前から使っていない。今後、情勢悪化でホルムズとともに「二重封鎖」される可能性が指摘され、「日本への油だと分かれば、狙われる恐れもある」(関係者)と危惧する向きもある。

二つの要衝を避ける場合、スエズ運河から地中海に抜け、喜望峰を回る航路がある。迂回(うかい)ルートは日数がホルムズ経由の2.5倍となる50日程度かかり、費用も跳ね上がる。また、水深の浅いスエズ運河では大型タンカーに原油を満載できないなど制約も多い。ある事業者は「コストが2~3倍どころではなくなるのではないか」と懸念を示す。

原油の輸送確保を巡り、海運事業者の業界団体、日本船主協会の長沢仁志会長(日本郵船会長)は3月25日の記者会見で「日本国民の生活を守ることは使命だ。政府から要請があり、石油会社もやるということであれば、期待に応えるのがわれわれのミッションだ」と強調した。政府は中東産原油の代替輸送ルートを模索するとともに、北米や中央アジア、南米からの調達も検討している。

〔写真説明〕ホルムズ海峡を通過する貨物船やタンカー=2月25日、アラブ首長国連邦(UAE)東部フジャイラ沖(AFP時事)

2026年04月03日 14時15分


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