中小賃上げ、中東緊迫で暗雲=原油高騰、コスト負担が直撃―26年春闘



2026年春闘で、雇用の約7割を占める中小企業の労使交渉がヤマ場を迎える。先行する大手企業は高水準の賃上げで相次ぎ妥結したが、緊迫する中東情勢が、中小企業の賃上げの勢いに水を差しかねない。原油高騰による原材料や物流コストの上昇が、人材流出を防ぐための「防衛的賃上げ」を迫られてきた中小の経営体力を奪う恐れがある。物価高を上回る賃上げの実現には強い逆風となる。

「値上げがどんどん来る。これからも拍車が掛かるだろう」。プラスチック成形・加工メーカーの三進工業(群馬県高崎市)の賀川映之社長は窮状を訴える。原油から精製される石油製品「ナフサ」の供給不安で、ナフサ由来の原材料の値上げに直面。ポリ袋など梱包(こんぽう)資材の調達にも支障が出始めたという。

経営環境が悪化する中でも、賀川社長は「(50人強の従業員に)残ってもらうために賃上げせざるを得ない」と吐露し、「来年も再来年もとなると厳しい」と頭を抱える。今後、電気代がさらに上がれば「取引先が価格転嫁に応じてくれるか分からない」と危惧し、政府には「しっかり原油を確保できる方策をとってほしい」と要望する。

連合による第3回回答集計では、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた平均賃上げ率は、300人未満の中小組合で5.00%と、前年と同じ高水準を維持した。ただ、多くの中小零細組合の交渉が本格化するのはこれからで、このまま賃上げの勢いを維持できるかは不透明だ。

「賃上げ疲れ」も広がる。東京商工リサーチの調査では、中小のベア実施見込み企業は、45.66%と2年連続で低下した。

トラック運送やタクシーなどの業種の組合が加盟する「交通労連」によると、3月27日時点で1000人未満の組合の平均賃上げ獲得額は前年を下回った。足元の原油高騰が「(ガソリン・軽油の)暫定税率廃止(によるコスト軽減)という賃上げの底上げ要因を打ち消してしまった」と説明する。

機械や金属関連の中小企業労働組合を中心に構成する「ものづくり産業労働組合(JAM)」には、アルミやシンナー、塗料といった原材料の調達難など中東緊迫化に伴う混乱の報告が相次いでいる。安河内賢弘会長は「経営側は先行き不透明と言うだろうが、物価が上がって生活が苦しくなることは確実だ」として、賃上げ継続へ危機感を強めている。

〔写真説明〕プラスチックの成形・加工を手掛ける三進工業の工場=2025年10月21日、群馬県高崎市

2026年04月15日 07時32分


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