
【ワシントン時事】投資ファンドをはじめとしたノンバンクが高利回りで融資する「プライベートクレジット」について、主要国の金融当局が警戒感を強めている。緩い規制の下でリスクマネーが膨張。最大市場を有する米国では融資を受けた企業の経営破綻で懸念がくすぶり、世界各国の当局で構成する金融安定理事会(FSB)は「金融安定の脅威が増幅する」(ベイリー議長)と警鐘を鳴らす。
ベイリー氏は、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁に充てた書簡で、米イスラエルとイランの中東紛争をきっかけに「投資家心理が悪化した」と分析した。原油供給の混乱に端を発したマーケットの急変動やプライベートクレジット問題を挙げ、複数のショックが同時に起きると「二重苦または三重苦」に見舞われる恐れがあると警告した。
信用不安が広がる米国では投資家による解約請求ラッシュが発生。ベセント米財務長官は「プライベートクレジットを含む資本市場の全ての動きを監視している」と沈静化に努めた。米連邦準備制度理事会(FRB)は金融システム全体への影響を見極めるため、米銀にプライベートクレジット向け融資の状況を照会しているとされる。
その市場規模は国や地域でばらつきがあるため、「重要な金融機関の破綻につながる証拠はない」(ミランFRB理事)との見方が大勢を占める。米国でプライベート・クレジット・ファンドはほとんど規制の対象外で、本格的なルール導入の機運も醸成されていない。ただ、リーマン・ショックのような金融危機再来の芽を摘むため「国際的に規制の動きが出る」(邦銀エコノミスト)との声も出ている。
〔写真説明〕金融安定理事会(FSB)議長を務めるイングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁=2月5日、ロンドン(EPA時事)
2026年04月20日 18時01分