
海外での抹茶ブームで、緑茶の輸出が急増している。財務省が28日に公表した貿易統計によると、2025年度の緑茶の輸出量は1万3125トンと、前年度の9272トンから42%増加。世界的な需要拡大で価格も高騰しており、金額ベースでは847億円と2.2倍に膨らんだ。その一方、安価な海外産が国内に流入、暮らしに根付いてきた「日本茶」は岐路を迎えているようだ。
輸出量の内訳は、抹茶を含む「粉末状の緑茶」が全体の約7割を占めた一方、煎茶など「その他の緑茶」は前年度を下回った。抹茶風味のデザートやドリンクの海外人気を背景に、政府も緑茶を農林水産物・食品輸出のけん引役に位置付ける。
茶全体の国内生産は緩やかな減少傾向にあるが、抹茶の原料となる「てん茶」に限れば24年まで4年連続で増加。単価も上昇しており、これまで主流だった煎茶からてん茶に生産をシフトする動きも出ている。供給が減る煎茶も値上がりし、25年度は中国などからの安価な海外産緑茶の輸入量が5801トンと、前年度比で82%増えた。
帝国データバンクによると、製茶業の25年の休廃業・解散は過去最多の13件と、前年の8件を大きく上回った。茶園の約4割が中山間地にあり、高齢化も進む中、煎茶とは製法が異なるてん茶への転換は容易ではない。国産にこだわる伊藤園の担当者は、「日本のお茶産業を健全に成長させたい」として、生産基盤の強化やブランド力向上を急ぐ必要があると指摘した。
〔写真説明〕富士山と茶畑の絶景スポットとして人気の「大淵笹場」=2022年5月、静岡県富士市
2026年05月01日 07時06分