
【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)が導入した新出入国管理システム「EES」の影響で、欧州各地の空港で混雑が生じている。非EU圏からの渡航者に対する入国審査の手続きが増え、ピーク時には最大3時間の待ち時間が発生。旅行需要が高まる夏の繁忙期を前に懸念が広がっている。
「あんなに並ぶとは思わなかった」。4月10日、英ヒースロー空港から旅行先のイタリア・パレルモの空港に降り立ったロンドン在住の女性会社員は、入国審査の長蛇の列を見て驚いた。1時間以上たって空港を後にすることができ、「旅の始まりからどっと疲れた」とこぼす。
EESは、短期滞在の非EU市民らを対象に、入出国時に指紋や顔画像などの生体情報を登録・照合するシステムだ。不法滞在防止のため、従来のパスポートへのスタンプに代わり、渡航履歴をデジタルで管理する。昨年10月から段階的に運用が始まり、今年4月10日に全面導入されたが、初回の登録に時間がかかることが混雑の大きな要因となっている。
業界団体の国際空港評議会(ACI)欧州支部などによると、全面導入初日には入国審査の遅れにより、英国行きの便で51人が搭乗できなかったケースが報告された。英BBC放送によれば、イタリア北部ミラノの空港でも、混雑で約30人が搭乗できずに取り残されたという。「列がほとんど動かない」状態が続いたとされ、空港の対応の遅れや不十分な案内に対する不満も出ている。
〔写真説明〕フランクフルト空港=4月23日、ドイツ・フランクフルト(EPA時事)
2026年05月02日 16時22分