外国為替市場で4月30日、政府・日銀が円安是正を狙って約2年ぶりに為替介入を実施した。政府の「防衛ライン」とみられてきた1ドル=160円を超える水準まで円安・ドル高が進み、円売りがさらに加速すると懸念される中、「伝家の宝刀」で投機的な動きに歯止めをかけた。
前回、介入が実施された2024年7月以来の円安水準に達すると、為替介入の実務を取り仕切る三村淳財務官は「最後の退避勧告だ」と異例の予告に踏み切った。24年は東京市場で薄商いになりがちな4~5月の大型連休にも実施しており、今回も取引参加者が少ないこの時期を狙ったとみられる。片山さつき財務相は直前に「外出の時も、お休みの時もスマホを離さずに」と警告していた。
円相場が反転した後の1日、三村氏は「大型連休はまだまだ序盤だ」と、再び口先介入。4月29日、5月1日と立て続けに円買い介入した2年前を思い起こさせる発言で市場の警戒感をあおった。
政府が円安阻止に動く背景には、暮らしに与える悪影響が看過できない水準まで及ぶとの危機感がある。中東情勢悪化による原油価格の高騰に、さらなる円安進行が重なれば、物価が急上昇して家計や中小企業に深刻な打撃を与えかねない。
ただ、介入効果は一時的との見方も強い。中東情勢を受けた「有事のドル買い」や日米の金利差など、円安・ドル高を誘発しやすい構造は解消していない。24年は4~5月の介入後に再び円安が進み、7月に実施を余儀なくされた。
こうした背景からか、政府は円安阻止の手だてを増やしてきた。昨年9月、日米財務相が為替政策での協調を確認。今年1月下旬の円安局面では、米当局によって介入の準備段階とされる「レートチェック」が行われ、外貨準備という「実弾」を使わずに水準を押し戻した。
今年3月には、原油先物市場に介入して投機的な動きを抑えることによって円安をけん制する案も政府内で浮上した。三村氏は1日、記者団に対し「執行体制は常に整えている」と強調した。
【時事通信社】
2026年05月02日 07時03分
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