
高市早苗首相と片山さつき財務相が来日中のベセント米財務長官と相次いで会談し、為替政策を巡って協調姿勢を演出した。米側が政府・日銀の為替介入を容認していると市場に印象付けたが、介入の効果は一時的との見方は根強い。物価高を招いた円安に歯止めをかけられるかは依然として見通せない。
「為替市場の望ましくない過度な変動への対処における意思疎通や連携は引き続き強固だ」。ベセント氏は片山氏と12日に会談した後、SNSで会談の成果を強調。「連携が深まった」と手応えを口にした片山氏と足並みをそろえた。
日本側が重視するのが、市場の過度な変動や無秩序な動きに為替介入で対処することを認めた昨年9月の日米財務相共同声明だ。片山氏はこれまで、円安が進行した際に再三、声明に言及し、市場の投機的な動きをけん制してきた。今回の会談でも、声明に沿った連携を再確認できたと強調した。
一方、米側から協調介入を示唆するような発言は聞かれなかった。市場では「今後も日本単独での介入なら、円安抑制の効果は小さい」(国内証券)との声も上がった。
そもそも、介入はあくまで時間稼ぎの手段にすぎない。中東情勢の悪化に伴う原油高騰や日米の金利差、日本の財政規律の低下懸念といった円売り要因が解消されない限り、円安圧力は今後も継続すると見込まれる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは「介入という対症療法で一時的に円安の痛みを緩和し過ぎると、将来ぶり返してくる痛みが逆に激しさを増すリスクもある」と警鐘を鳴らす。
〔写真説明〕ベセント米財務長官(左)と握手する高市早苗首相=12日、首相官邸(EPA時事)
2026年05月13日 09時05分