
【ソウル時事】韓国のサムスン電子の労働組合が、「上限なしで営業利益の15%」という巨額の成果給制度を要求して波紋を呼んでいる。韓国を代表する大企業労組の利己的に映る振る舞いに批判が相次ぎ、世論も冷淡。しかし、労組はストライキの構えを崩さず、政府は危機感を募らせている。
サムスン電子で半導体事業を担うデバイス・ソリューション(DS)部門を中心とする労組は昨年12月以降、経営側と交渉したが決裂。今年3月、5月21日から18日間のストを予告した。
半導体事業の好況を受け、同社の今年1~3月期の営業利益は57兆2000億ウォン(約6兆円)に達した。労組の要求通りなら、今年の業績見通しに基づくDS部門1人当たりの成果給は約6億ウォン(約6000万円)と予想されている。
労組の強硬姿勢の背景には、同じく半導体大手のSKハイニックスが2021年に営業利益の10%を成果給とする制度を導入し、昨年上限も撤廃したことがある。また、李在明政権が株式市場活性化へ旗を振る中、半導体銘柄の高騰で総合株価指数(KOSPI)は空前の高値圏にあり、株価を「人質」に取っている側面もある。
これに対し、李在明大統領は「一部の労組が過度な要求をして国民に指弾されれば、他の労働者に被害を与える」と苦言。金栄訓雇用労働相も「多くの関連業者の努力、政府の支援、研究開発投資、膨大な電力確保への地域住民の協力があってきょうのサムスン電子がある」と労組の「独善」にくぎを刺した。世論調査機関「リアルメーター」が4月末に発表した調査では、7割が労組の主張は「不適切」と回答している。
政府が仲裁に乗り出し、11~13日に再交渉したものの、決裂。ストに突入すれば、30兆ウォン(約3兆円)以上の損失が生じると指摘されており、金民錫首相は13日、「国民経済への波及効果の重大性を考慮し、政府レベルで状況を管理しなければならない」と強調した。政府は、ストを30日間禁止できる労働組合法の「緊急調整権」発動も辞さない考えを示している。
〔写真説明〕韓国サムスン電子の社旗(AFP時事)
2026年05月15日 21時22分