
【北京時事】トランプ米大統領と習近平中国国家主席は2日間の会談で、激しい覇権競争による対立を管理し、経済関係を安定化させることを確認した。中国が米製品の輸入を拡大し、人工知能(AI)に関して新たな対話を始めるが、第1次トランプ政権時の大型合意に比べて内容は乏しい。今後もけん制し合う構図は続き、「休戦」から再び緊張に発展する懸念は拭えない。
「多くの実りがあった」。9年ぶりに訪中したトランプ氏は15日の会談でこう強調した。中国は米農産物を3年間で年数百億ドル(数兆円)購入する見通しで、米ボーイング製航空機の200機購入でも合意したという。
米中経済安定化の新枠組みとして創設を目指すのが、機密性の低い品目の貿易を管理する「貿易委員会」、投資案件を協議する「投資委員会」、技術面で比較的優位に立つ米側が提案したAIに関する対話だ。貿易委では互いに300億ドル(約4兆7000億円)規模の輸入拡大を視野に入れる。
だが、2020年発効の「米中第1段階貿易合意」では、中国が2年間で計2000億ドルの輸入を約束。トランプ氏が17年の前回訪中時にまとめた、ボーイング300機購入を含む約2500億ドルの商談にも見劣りする。
背景にあるのは、第1次トランプ政権発足後に中国で強まった「対米不信」(共産党幹部)だ。前回訪中時の首脳合意に間を置かず対中関税引き上げに踏み切るなど、米側は場当たり的な対応が目立つ。中国にとってボーイング機や農産物購入は「切りやすい交渉カード」(元米政府高官)だが、既視感は否めない。
今回の会談で貿易戦争の再燃は遠のいたものの、米国の半導体、中国のレアアース(希土類)を巡る輸出規制という懸案は残る。米シンクタンク、アトランティック・カウンシルのロバーツ上級研究員は、長期戦をにらんで米国の出方を慎重に見極めてきた中国が「交渉力を強めている」と指摘。双方の間では今後も神経戦が続きそうだ。
〔写真説明〕15日、北京で会談するトランプ米大統領(左)と習近平中国国家主席(AFP時事)
2026年05月15日 20時36分