
【ワシントン時事】米イランによる合意後も、原油供給や世界の経済成長が回復するには相応の時間を要する見通しだ。トランプ米大統領は、ホルムズ海峡は19日の覚書署名後に開放されると表明したが、中東のエネルギーインフラの損傷が激しい上、生産が回復しても原油到着までに日数がかかる。日本を含め依存度の高い国々にとって、直ちに懸念が解消されるわけではない。
「海峡が完全に開放されても、経済にプラスの影響が波及するには時間がかかる」。国際通貨基金(IMF)の高官はこう分析する。
中東情勢の悪化は、供給混乱による高インフレを招き、世界経済の成長率を押し下げてきた。世界銀行は今月公表した最新の見通しで、今年の世界の実質GDP(国内総生産)成長率を2.5%と予想。前回予想から0.1ポイント下方修正した。
戦闘終結は、物流の要衝ホルムズ海峡封鎖で世界経済を押し下げてきた供給混乱の解消やエネルギー市場の安定、インフレ低減につながる。
だが、中東への輸入依存度の高いアジアなどに原油が届くには1カ月前後の時間がかかり、実体経済にすぐさま影響が及ぶわけではない。輸送コスト増を招いた船舶保険料の高騰が和らぐには、衝突再燃の懸念を払拭する必要がある。
ただ、米イランは19日の覚書署名まで駆け引きを続ける可能性もある。合意を目指すさなかにイスラエルがレバノンを攻撃するなど、不確定要素も拭えない。
米エネルギー情報局(EIA)は、海上輸送が来年初めまでに戦闘前の水準に戻らなければ、主要国の原油在庫は、今年末までに2003年以降で最低の水準に落ち込むと警告した。戦闘開始後にアジア諸国などが代替調達を進めたこともあり、世界の原油在庫は急減。さらなる供給途絶のリスクに備え、海上輸送再開後も積み増しに動く懸念もあり、供給網の正常化はなお遠そうだ。
〔写真説明〕封鎖されているホルムズ海峡に停泊するガンビア船籍のタンカー=5月2日、イラン南部沖(AFP時事)
2026年06月15日 20時30分