余るジャガイモ、価格ゼロに=「ポテト王国」に異変―ベルギー



【ブリュッセル時事】ベルギーでフライドポテト向けのジャガイモ価格がゼロになる異例の事態が起きている。欧州全体での豊作を背景に、需要を大幅に上回るジャガイモが市場に出回っているためだ。米国の関税措置や新興輸出国との競争激化も影を落としている。

フライドポテトは、ビールやチョコレートと並ぶベルギーの食文化の象徴だ。街角には専門店が数多くあり、多彩なソースをつけて楽しむ観光客の姿も見られる。ベルギーはフライドポテトの「発祥国」を自任し、冷凍ジャガイモ製品の輸出額では世界首位。欧州連合(EU)統計局によると、2025年の輸出額は34億8000万ユーロ(約6500億円)に達した。

そのベルギーでジャガイモ余りが深刻化している。加工業者らでつくる業界団体ベルガポムが公表するフライドポテト向けジャガイモの週次相場は、今年4月以降ゼロが続く。地元メディアによると、買い手が見つからず、保管・廃棄費用を抑えるため、収穫したジャガイモを畑に戻して処分する農家もいるという。

こうした供給過剰は欧州全体に広がっている。北西欧ジャガイモ生産者協会によると、ベルギー、オランダ、ドイツ、フランス4カ国の25年の生産量は前年比10%増の2720万トン(暫定値)と過去最高を記録。ベルギー国内では数十万トンの在庫が積み上がり、ドイツでは余ったジャガイモを市民に無料配布する動きも出ている。

ベルガポムのフェルミューレン最高経営責任者(CEO)は、ベルギーでは加工用ジャガイモの大半が事前契約で販売されていると指摘。値が付いていないのは主に契約外の余剰分だとして「業界全体が危機に陥っているわけではない」と強調する。

ただ、トランプ米政権の高関税政策による輸出環境の悪化や、中国、インドなど新興輸出国の台頭に加え、世界的な健康志向の高まりも業界にとって逆風となっている。ベルギーが誇るフライドポテト産業は新たな市場環境への対応を迫られている。

【時事通信社】 〔写真説明〕専門店で買ったフライドポテトを手に笑顔を見せる女性ら=13日、ブリュッセル

2026年06月15日 07時01分


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