中小企業、価格転嫁に苦心=中東影響長期化で資金繰り不安も



中東情勢の悪化による原油や石油化学製品の値上げや供給不安で原材料調達コストが増す中、中小企業が価格転嫁しにくい状況が続いている。米国とイランが戦闘終結の覚書を交わした後も物流正常化は予断を許さない状況。政府は資金繰り支援の拡充などを打ち出すが、経営者からは影響長期化を見据えた対策強化を求める声も上がる。

中東紛争によるホルムズ海峡の実質封鎖は、石油化学製品の基礎原料となるナフサの供給混乱を通じて、プラスチックや塗料など広範な製品・素材の品切れや価格高騰を引き起こした。

日本商工会議所が5月に実施した調査(約2500社が回答)では、9割超の企業が仕入れ価格の高騰など中東紛争の影響を受けていると回答。価格高騰の影響を受けた企業の約半数が価格転嫁を「ほとんどできていない」か「していない」と指摘した。こうした状況を受け、公正取引委員会が15万社を対象に実態調査に乗り出した。

東京都内の工務店経営者は「多少利益が減っても(コスト増加分を)吸収してやりくりしている」と話す。コスト増の要因は多岐にわたり、メーカーなどの値上げ分を住宅購入者に転嫁するのは難しい。3月半ばに防水材や断熱材から始まった品不足はシンナーや接着剤などに拡大。「工事が止まるとお金も止まる」と、発注前倒しや在庫・代替品活用で何とか回している状況という。

政府は、中小企業の資金繰り対策として3月下旬、日本政策金融公庫などに中東情勢に関する特別相談窓口を設置した。公庫によると、5月末時点で6610件の相談が寄せられ、うち3059件で計約774億円を融資した。7月1日には信用保証協会による「セーフティネット保証5号」の対象を520業種から583業種に拡大する。

政府は中小企業からの相談件数がコロナ禍の規模には達していないことなどから、実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」といった「特別な措置を講じる予定は現時点ではない」(経済官庁幹部)との考えだ。

ただ、東京商工リサーチの6月の調査では、既に資金繰りに悪影響があるとの回答は約2割だったが、「現状は(悪影響を)与えていないが、今後与えそうだ」との回答は4割を超えた。同社によると、「予定していた人材採用を延期・中止した」とする中小企業も出ており、長期化による影響が危惧される状況になってきたという。

〔写真説明〕インクなどの調達不安を受け、白黒の包装で店頭に並ぶスナック菓子=1日、東京都大田区

2026年06月23日 09時11分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース