合意優先、かすむ政策目的=財源・所得線引きは先送り―新給付制度



超党派の社会保障国民会議が、所得に連動した新たな給付制度を2029年度に全面導入することで合意した。ただ、早期合意を優先し、支援額や支援対象を線引きする所得基準、財源といった詳細な制度設計は先送りされた。当初対象外だった低収入者への給付検討も盛り込まれ、中低所得勤労者の税・社会保険料の負担軽減や就労促進という政策目的がかすむ内容となった。

新制度は一定以上の勤労性所得がある人が対象。給付額は、所得が非課税ラインを超えれば、逓増し、働くほど手取りが増える仕組みだ。「年収の壁」に配慮した加算も行う。給付が始まる収入の下限は雇用保険が適用される年約53万円超、給与所得控除を差し引いた所得がゼロとなる74万円超、社会保険料負担が生じる約106万円超の3案を例示。上限は米欧と比べて負担が重い年270万円程度までが目安と見られている。

ただ、こうした基準や給付額は、恒久財源が確保できる範囲で今後決める。制度実施には数兆円規模が必要とされるが、高市政権では成長投資や防衛費など巨額予算を要する施策が他にも山積している。赤字国債に依存しないとするが、恒久財源の確保は難航が必至だ。

与野党協議が進む中、制度のあり方も変容した。当初は、より就労促進に有効とされる税額控除と組み合わせた支援を検討したが、制度の複雑化や事務負担を理由に断念し、給付に一本化した。

合意案には、低収入の現役世代や病気・障害で働けない人への給付の検討も盛り込まれた。低年金の未就労高齢者への支援も併せて検討する。高市早苗首相は、食料品消費税を来年4月から2年間減税し、その後に新たな給付に切り替える構想を描くが、野党側が「2年後には大増税になる」(中道改革連合)などと反論。支援対象の拡大を求めていたためだ。必要財源がさらに膨らみ、既存の社会保障制度との関係も課題となる。

一方、消費税減税を巡っては、国民民主党が減税ではなく給付の早期実施を主張するなど与野党間の隔たりは大きい。首相は8月初旬までに決定する考えだが、意見集約はいまだ見通せない。

2026年07月17日 07時04分

administration


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