
人気レジャー施設の一つ、水族館の水処理技術が進化を遂げている。薬品を使わずに汚れを分解したり、海水による金属の腐食を防いだり、細やかな工夫を重ねることで生命の維持や展示のしやすさに貢献。巨大水槽のバックヤードには、水族館を支える企業の知恵が詰まっている。
「潤沢に海水を使える環境にないからこそ、管理を徹底している」。東京スカイツリーの足元に立地するすみだ水族館(東京都墨田区)の三浦晴彦課長は強調する。
海水をくみ上げられない都市型施設。水質確保の核となるのは、人工海水の製造から水温、水流の調整までを一元的に管理する大成建設の水処理システムだ。魚やサンゴ、ペンギンなど生き物に応じて使い分ける3種類の人工海水はいずれも水道水ベースだが、透明度が高く品質にむらもないという。
「水族館では、長きにわたって設備の保守管理が課題となっていた」と話すのは荏原製作所の担当者。海水を扱うポンプは金属部品が腐食しやすいため、水に触れる部分に樹脂を採用。砂や貝殻が交じる環境にも耐えられるよう強化し、約600台の納入実績があるという。
三菱電機は、下水処理技術を応用し、オゾンの力で汚れを分解・殺菌する装置を手掛ける。塩素などの薬品を使わずに汚れや悪臭の元を分解でき、繊細な体調管理が必要なホッキョクグマなど海獣向けのニーズが高い。
アフリカマナティーの水槽に導入している鳥羽水族館(三重県鳥羽市)。餌となる水草から出る黄ばみは、ろ過するだけでは除去できないが、この装置で水の透明度が保たれ、マナティーが泳ぐ姿を来館者が観賞しやすくなったという。三菱電機の担当者は「現場での実験を重ね、水槽ごとの最適な運転条件を探ってきた。ちょうど良いオゾン量を見極める地道な作業がきれいな水を支えている」と話す。
〔写真説明〕鳥羽水族館の、水を透明に保つオゾン装置=8月8日、三重県鳥羽市
〔写真説明〕鳥羽水族館で飼育されているアフリカマナティー=8月8日、三重県鳥羽市
2026年10月07日 07時05分