
【ワシントン時事】2日公表された9月の米雇用統計では、景気の先行きを占う手掛かりとなる非農業部門就業者数の伸びが予想外に急減速した。失業率も7カ月ぶりに悪化したが、雇用情勢は「安定的な基調」(エコノミスト)を維持したとの見方が支配的。連邦準備制度理事会(FRB)は追加利上げの是非を判断する上で、今後発表される物価指標を重視する方針だ。
9月の就業者数は前月比2万9000人増と、予想の9万人増を大きく下回った。失業率は4.2%と、前月から0.1ポイント上昇。弱い内容の雇用統計に加え、「政策調整は慎重に決定されるべきだ」(ジェファーソンFRB副議長)といった高官発言も相まって、FRBが今月27、28日の金融政策会合で、9月の前回会合に続いて利上げに踏み切るとの観測は後退した。
もっとも、失業率の上昇は働く意欲がある人の増加が要因とみられ、雇用悪化とは言い難い。就業者数の直近3カ月の平均増加ペースは約5万人を維持。「FRBの優先事項がインフレから(雇用に)変化するほど鈍化したわけではない」(金融大手)との見方が大勢だ。
米イラン紛争による原油高騰を受けて直近8月のインフレ率は3.4%と、FRB目標の2%を大きく上回る。物価安定を重視する「タカ派」として知られるクリーブランド連邦準備銀行のハマック総裁は2日、労働市場は完全雇用状態に近いと分析。「懸念はまさしくインフレだ」と明言した。
金利先物市場では、FRBが今月利上げに踏み切る確率は一時、インフレ圧力への懸念から7割に達したが、直近では2割まで低下した。ウォーシュ議長が金利動向を前もって示唆しない方針を堅持し、政策運営の不透明感が高まっていることも、予想の振れ幅が大きい一因と言える。インフレの根強さを示す物価指標が今後相次げば、市場の追加利上げ観測が再び強まる可能性もありそうだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕記者会見するウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長=9月16日、ワシントン(AFP時事)
2026年10月04日 06時57分