【ニューヨーク時事】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は11月30日、イスラム組織ハマスによる10月7日の奇襲攻撃の1年以上前に、イスラエル当局がハマスの戦闘計画を入手していたと報じた。しかし、イスラエルの軍と情報当局は、ハマスが実行するには難しすぎる計画だと最終的に判断して重要視していなかったという。
イスラエル当局によって「エリコの壁」というコードネームが付けられた約40ページの文書には、攻撃を決行する日付は明記されていないが、パレスチナ自治区ガザ周辺の要塞(ようさい)を制圧し、イスラエルの主要都市を占領、さらに師団司令部を含む軍事基地を襲撃するという攻撃計画が系統的に記されている。
攻撃開始時にはロケット弾を連射し、ドローンで国境沿いの監視カメラや自動機関銃を破壊。その上で武装集団がパラグライダーやオートバイなどでイスラエルに大挙して突入することが想定されていたという。
攻撃計画では、イスラエル軍の位置や規模、通信拠点など機密情報に関する詳細も記されているため、ハマスがこれらの情報をどのように収集したか、イスラエルの治安組織からのリークがあったかどうかが取り沙汰されている。
文書はイスラエルの軍や情報機関の幹部の間で回覧されていたが、専門家らはこの戦闘規模の攻撃はハマスの能力を超えていると判断した。同紙は「ネタニヤフ首相や他の政治指導者らが文書を見たかどうかは不明だ」と伝えている。
〔写真説明〕イスラエル国旗(EPA時事)
2023年12月01日 17時43分