
外務省が海外でのテロや誘拐に備えて今月行った官民合同訓練の写真が物議を醸している。テロリスト役の衣装が中東地域やイスラム圏を想起させるとして、SNS上で「差別につながる」との批判が相次いだ。同省は投稿から削除したが、まだ収まっていない。
「さまざまな意見を真摯(しんし)に受け止めた」。茂木敏充外相は18日の記者会見で写真削除の理由をこう説明。「邦人保護の観点から極めて重要だ」と訓練の意義を強調し、「適時適切な発信、丁寧な説明に努めていきたい」と語った。
問題となったのは、警備会社に依頼して10日に東京都内の政府施設で行った訓練。外務省がX(旧ツイッター)でこれを伝えた際、頭部をスカーフ状の布で覆ったテロリスト役が人質役の一人の頭に袋をかぶせる場面を捉えた写真も掲載した。
訓練は、銃声や爆発音が響く中で身を伏せて退避するなど、実際のテロを想定した内容だ。バングラデシュの首都ダッカの飲食店を武装集団が襲撃し、日本人7人が犠牲となった2016年の事件の教訓を踏まえ、18年から国内で実施している。この警備会社によると、ダッカ事件の実行犯が事前に武器の訓練を受けていた点などを念頭に、できるだけ実践的なものになるよう工夫している。
しかし、写真がアップされるとSNS上には「テロリスト役に(アラブ地域の伝統的なスカーフの)クーフィーヤに見える衣装を身に着けさせている。差別の扇動をやめてください」「あまりにひどい。ステレオタイプ丸出し」などの批判が上がった。一方、現実に即した訓練だとして、問題視することに疑問を呈する声も出た。
対応を迫られた外務省は今月15日、「特定の民族や地域、宗教等を念頭に置いたものではない。誤解が生じたとすれば本意ではない」とXなどで釈明。写真は削除したが、その後も批判は続いている。
今年度はあと3回の訓練を予定している。外務省幹部は「伝え方を考えていくが、SNSでどう発信するかは本当に難しい」と漏らした。
〔写真説明〕外務省=東京都千代田区
〔写真説明〕外務省がXに投稿し、その後削除したテロ・誘拐対策訓練の写真(外務省のXから引用)
〔写真説明〕官民合同テロ・誘拐対策訓練の様子=10日、東京都港区
2026年09月19日 17時37分