黒川弘務・元東京高検検事長の定年延長を可能とした法解釈変更の経緯を巡り、神戸学院大の上脇博之教授が、法務省内の検討文書の不開示決定取り消しなどを求めた訴訟で、当時法務事務次官だった辻裕教・前仙台高検検事長の証人尋問が1日、大阪地裁(徳地淳裁判長)であった。辻氏は解釈変更について「特定の検察官の定年延長を目的にしたわけではない」と述べた。
地裁が尋問を決めた6月、辻氏は仙台高検検事長で、現職検事長に対する異例の決定だった。
法務省は2020年1月、人事院の了承を得て、国家公務員法の定年規定を検察官にも適用できるよう検察庁法などの解釈を変更。内部で文書による決裁を経なかったことから、同年2月に定年退官する予定だった黒川氏のための変更ではないかと国会で問題になった。
証人尋問で辻氏は、変更したばかりの解釈を黒川氏の人事に適用した理由について「可能な解釈をして、必要性が生じたため適用した」と説明。ただ、定年延長を検討し始めた時期や詳細な理由は「職務上の秘密に当たるので答えを差し控える」と述べるにとどめた。
〔写真説明〕大阪地裁=大阪市北区
2023年12月01日 19時38分