東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(81)=受託収賄罪で公判中=側に賄賂を渡したとして、贈賄罪に問われた出版大手「KADOKAWA」元会長の角川歴彦被告(81)の公判が19日、東京地裁(中尾佳久裁判長)であった。検察側は「大会の公正な運営に対する国内外からの信頼を失墜させた悪質な犯行」として懲役3年を求刑した。
角川被告は、高橋被告側への金銭の支払いを知らなかったなどとして無罪を主張している。
検察側は論告で、「角川被告の供述は全般的にあいまいな記憶に基づき、関係証拠と矛盾する。弁解は到底信用できない」と主張。実質的な経営トップとして責任ある立場にもかかわらず、高橋被告への請託や賄賂供与の報告を受けて了承した上、スポンサーに選定されるため自ら同被告らに接触したなどと指摘した。
その上で「不合理な供述に終始し、自らの責任を部下に押し付ける姿勢が如実だ。反省の態度はみじんも感じられず、刑事責任は共犯者と比べて最も重い」と非難した。
全5ルートに及んだ一連の汚職事件では計15人が起訴され、12人に有罪判決が出された。うち11人は有罪が確定している。
起訴状によると、角川被告はいずれも有罪が確定した同社元専務(67)、元担当室長(66)と共謀し、スポンサー選定や協賛金額の決定で便宜を依頼。2019年9月~21年1月、高橋被告側に計約6900万円を支払ったとされる。
〔写真説明〕角川歴彦被告=2024年6月、東京都千代田区
2025年08月19日 20時04分