ウグイス嬢の不正「珍しくない」=自ら持ち掛け、暗黙の了解も―専門家「候補者は管理徹底を」・公選法違反



衆院選で法定額を超える報酬を受領したとして、神戸区検は3月、兵庫8区で出馬した前衆議院議員=落選=陣営の「ウグイス嬢」の女性らを公選法違反(被買収など)罪で略式起訴した。同様の事件は過去にもあり、関係者は「被買収は珍しくない。発覚を防ぐための暗黙の了解も業界にある」と証言。「ウグイス嬢側が不正を持ち掛けることも多い」と指摘する専門家もいる。

起訴状などによると、女性は2月の衆院選で陣営の秘書と共謀。自身を含めたウグイス嬢5人の手配料などの名目で違法に42万円を受領したとされる。神戸簡裁は3月、女性に罰金50万円、追徴金24万円の略式命令を出すなどした。

複数の関係者によると、陣営が選挙管理委員会に提出した「選挙運動費用収支報告書」に添付されているウグイス嬢名義の領収書には、報酬額が水増しされたり、署名が偽造されたりしたものが含まれている。

女性は自身以外の4人に、金額の記載がない領収書への署名を要請していた。取りまとめて陣営に提出したとみられ、請求した報酬96万円から自身の取り分を除き、法定額内の計54万円を4人に渡していた。

時事通信は複数回、女性に文書で取材を申し込んだが、期限までに回答はなかった。

複数の選挙に関わった経験がある関西地方の関係者は、ウグイス嬢のとりまとめ役が陣営側に手配料を要求したり、了承を得て領収書を水増ししたりして、法定額以上の報酬を受け取ることは「珍しくない」と話す。

選挙では1日6時間の稼働で法定上限の報酬2万円をウグイス嬢に払うことが多いため、12時間稼働した場合、6時間ずつ別々の人の名義で領収書を提出し、1人で4万円を受け取る手口などがあるという。

不正発覚を防ぐため陣営やウグイス嬢同士は口頭でやりとりし、「報酬は原則現金」「振り込みの場合は投開票日から2カ月後以降」などの暗黙の了解もあるとされる。

選挙プランナーの松田馨さん(45)は、アナウンス力などを必要とするウグイス嬢は全国的に人手が足りず、「ウグイス嬢側から法定以上の報酬を陣営に要求するケースは多い」と指摘する。ただ、発覚すれば当選取り消しなどのリスクは大きく、「候補者本人が収支管理を徹底し、報告書に虚偽がないか確認すべきだ」と訴える。

〔写真説明〕2月の衆院選で、兵庫8区から出馬した陣営が選挙管理委員会に提出した選挙運動費用収支報告書=7日、神戸市中央区(一部画像処理しています)

2026年04月09日 07時16分


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