
警察庁は9日、犯罪被害に遭った人の負担軽減を図るために交付する「被害者手帳」のモデル案を公表した。同案を基に各自治体の支援策を反映した完成版の作成を全国の警察に指示。今年度中に順次配布を始める。
被害者手帳は3月に閣議決定した第5次犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた。「窓口で繰り返し被害を説明する精神的負担を減らしたい」「フラッシュバックなどが起きて、事件から時間が経過した後でも問題なく支援を受けられるようにしたい」という被害者団体の声を受けて、導入が決まった。
主に重い身体被害が生じた事件の被害者や家族、遺族らを対象に警察が交付する。紙の手帳以外にデジタル版も作成。過去に被害に遭った人も申し出れば受け取ることができる。
これまで使ってきた冊子「被害者の手引」の内容を拡充。支援制度や関係機関の連絡先、刑事手続きの説明をまとめたほか、被害者側がさまざまな内容を書き込める記述欄を設けた。
事件についての記録のページには発生日時や被害届番号、具体的な状況などを記載。加害者側の情報や担当弁護士などを記すページもある。警察や支援団体の対応記録や裁判状況は一覧表でまとめられるようにし、心身の不安など困り事は、チェックリスト形式で申告できるようにした。記入がつらい場合は支援者などに依頼できるという。
手帳を担当者に示すことで説明を省略でき、数年後に支援が必要になった場合でも適切な対応が受けられる。
警察庁は各警察や支援団体に手帳の運用について研修を行うほか、並行して各機関が支援の記録や経過を共有する「カルテ化」の検討を進め、漏れのない支援につなげる方針だ。
〔写真説明〕警察庁が作成した「被害者手帳」のモデル版。犯罪被害の状況や支援の経緯を記録し、繰り返し説明する負担を減らす=7日、東京都千代田区
2026年04月09日 10時14分