
北海道・知床半島沖で2022年、観光船が沈没した事故で、業務上過失致死罪に問われた運航会社「知床遊覧船」社長、桂田精一被告(62)の公判が17日、釧路地裁(水越壮夫裁判長)であった。弁護側は最終弁論で「被告や会社は強く非難されるべきだが社会的、道義的な責任で、刑事上の過失責任ではない」として、改めて無罪を主張し、結審した。判決は6月17日に言い渡される。
被告は最終意見陳述で「経営者として事故を防げなかった責任を強く感じている。この事故を決して忘れず、今後の人生の中で向き合い続けていきたい」と述べた。
昨年11月に始まった公判では、観光船の運航予定コースに対する被告の認識や、事故の予見可能性が争点となった。検察側は16日の公判で、禁錮5年を求刑している。
最終弁論で弁護側は、事故の本質的な原因は船首甲板部のハッチが閉まらない不具合で、桂田被告には知らされていなかったなどと説明。運航コースについても、天候が荒れていない午前中に帰港する認識だったが、船長が独自判断で変更したと主張し、被告の予見可能性は認められないと訴えた。
弁論に先立ち、被害者家族の代理人弁護士が意見を陳述。営利を最優先した被告が無謀な運航を強行させた結果、「起こるべくして起こった極めて悪質な人災事件」として、法定刑の上限となる5年の実刑以外に選択肢はないとした。
〔写真説明〕釧路地裁に入る「知床遊覧船」社長の桂田精一被告=16日、北海道釧路市
2026年04月17日 18時53分