マウスの卵子が受精した後、受精卵の中にできる二つの「前核」は、適度な大きさに抑えられることが、その後の正常な細胞分裂や個体の誕生に重要だと分かった。卵子由来の前核と精子由来の前核が一つにまとまって大きくなる異常が起きると、中にある染色体の複製と分配に悪影響が生じるとみられ、子として生まれる割合が低下した。
理化学研究所と神戸大、九州大の研究チームが実験で発見し、29日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。理研の北島智也チームディレクターは「ヒトの受精卵も同じ仕組みなのかは改めて調べる必要があり、不妊治療に直接役立つわけではないが、全体像の解明につながる」と話している。
実験結果によると、卵子の細胞質には染色体の複製などを助ける物質が含まれており、この物質が二つの前核にそれぞれ取り込まれることで、正常に細胞分裂が進むと考えられる。二つの前核が一つにまとまって大きくなると、この物質が十分に取り込まれなくなることが分かった。
ヒトの不妊治療でよく行われる顕微授精では、卵子に精子を注入した後、二つの前核を確認できれば正常に受精したと判断され、前核が一つや三つの場合は培養が中止される。
2026年04月30日 00時03分
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