
「血脈」「戦いすんで日が暮れて」などで知られる直木賞作家の佐藤愛子(さとう・あいこ)さんが4月29日、老衰のため東京都内の施設で死去した。102歳だった。大阪市出身。葬儀は近親者で済ませた。喪主は長女杉山響子(すぎやま・きょうこ)さん。故人の遺志でお別れの会は行わない。
父は作家の佐藤紅緑、兄は詩人のサトウハチロー。神戸市の甲南高等女学校(現・甲南女子高校)卒。父の影響もあって文学を志し、1950年に同人雑誌「文芸首都」同人となった。同誌に発表した「青い果実」でデビューを果たしたが、その後不遇が続き、59年に最初の著作「愛子」が刊行された。
63~64年に「ソクラテスの妻」と「二人の女」がそれぞれ芥川賞候補、「加納大尉夫人」が直木賞候補となり、作家としての実力が認められるようになった。一方、夫の会社が倒産して困窮し、借金返済のために小説執筆を強いられた。その体験を基にした小説「戦いすんで日が暮れて」でユーモアたっぷりに描き、69年に直木賞を受賞した。
79年に「幸福の絵」で女流文学賞を受賞。欲望と情念に惑わされる佐藤一族の壮絶な姿を、12年の歳月をかけて描いた大河小説「血脈」で2000年に菊池寛賞、15年には集大成と位置付けた「晩鐘」で紫式部文学賞をそれぞれ受賞した。
エッセーの名手とも呼ばれた。歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで、人生を笑い飛ばす文章は味わい深く、16年の「九十歳。何がめでたい」は、ミリオンセラーとなった。17年に旭日小綬章を受章。
〔写真説明〕佐藤愛子さん
2026年05月15日 14時16分