民事訴訟の手続きを全面的にデジタル化する運用が21日から始まる。オンラインで訴状の提出や判決書の受け取りができるようになるなど、一度も裁判所に行かなくても紛争を解決できるようになり、司法の利便性が向上する。最高裁は「大きなインパクトのある改正で、段階的に進めてきた民事訴訟デジタル化の本丸」としている。
これまでは、訴状や主張を記載した紙の書面を裁判所に持参か郵送した上で、法廷で開かれる口頭弁論の期日に原告、被告側双方が出席し、書面をやりとりするのが基本だった。ただ、遠方の裁判所に出向く時間的、経済的負担や、審理の長期化といった課題が指摘されていた。
2022年に改正民事訴訟法が成立。24年3月からウェブ会議を通じて、弁護士事務所などから口頭弁論に参加できるようになり、直接出廷する必要がなくなった。
さらに今月21日からは、訴状や主張書面をPDFファイルなどの電子データで提出することが可能に。データは裁判所のシステム「mints(ミンツ)」で管理され、当事者はオンラインで書面や証拠をいつでも閲覧でき、判決書の受け取りもできる。
裁判所が認めれば、証人尋問もウェブ会議の利用が可能になる。第三者が訴訟記録を閲覧する際も、最寄りの裁判所から専用端末を使って遠隔地の記録を確認することができる。
全面デジタル化は、21日以降に提訴された事件が対象で、訴訟代理人の弁護士はオンライン提出が義務化される。最高裁と日弁連によると、ミンツの利用登録をした弁護士は約3万人とみられる。代理人を付けない本人訴訟では、従来通り紙での提出も可能だ。
最高裁の担当者は「法施行後もより良い裁判の実現のための検討を継続していく」と話している。
司法のデジタル化を巡っては、判決書を収録したデータベースが創設されるほか、逮捕・捜索令状を電子化する刑事分野の改正法が27年3月までに施行。倒産や家事事件のオンライン申し立ても28年6月までに実施される予定だ。
【時事通信社】
2026年05月10日 07時04分
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