
青森県六ケ所村で日本原燃が建設中の使用済み核燃料再処理工場は、今年度中とする完成期日まで残り1年を切った。当初は1997年の予定だったが、これまでに27回延期。完成の前提となる審査を進める原子力規制委員会とのやりとりに時間を要しており、地元では「確実に遅れる」(宮下宗一郎知事)との声も出始めた。
再処理工場を、原子力の利用拡大に向けた重要な政策課題と位置付ける政府は「目標に変更が生じる状況ではないと報告を受けている」(木原稔官房長官)として官民一体の支援を強調するが、「27度目の正直」に向け、道のりは険しくなりつつある。
再処理工場は93年に着工。東日本大震災前は相次ぐトラブルにより、震災後は新規制基準に適合するかの審査が長期化して、延期の主因となった。2020年に基本設計の審査が終了し、現在は設備の詳細設計に関する審査が続く。原燃は24年夏に27度目の延期を発表した際、規制委への説明完了を昨年11月、認可取得を今年3月としたが、すでに遅れが生じている。
原燃の増田尚宏社長は「われわれの『ここを説明すればいい』というものと、規制側の『ここを聞かないと理解ができない』というものにずれがあった」と指摘。反省を踏まえた「全体計画」を策定し、審査対応を強化した。
同社によると、全体計画では説明内容やスケジュールを可視化し、規制委との間で認識を共有。約700項目が白いマスで示され、説明が済むと塗りつぶす。今年4月末時点で残るマスは26となり、6月までには説明を終えられるとの想定だ。
約半年の遅れは、作業の効率化や予備期間の取り崩しなどで取り戻せるとしている。ただ、規制委の山中伸介委員長は「審査は最終盤だが、一定の時間はかかる」とくぎを刺す。
審査のほかに、再処理の過程で出る高レベル放射性廃棄物をガラス固化体にする溶融炉の扱いも懸念材料だ。06年に始まった試運転では溶融炉のトラブル続発で、約3年半にわたって中断したこともあった。
原燃は昨年12月、溶融炉の処理性能の確認を完成後にずらすと明らかにした。認められるかは規制委次第だが、地元からは「溶融炉がきちんと動くかを確認してからでないと完成とは言えない」(県議)と指摘する声も上がっている。
【時事通信社】
〔写真説明〕日本原燃の使用済み核燃料再処理工場=2025年5月、青森県六ケ所村
2026年05月10日 07時04分