
乗客乗員520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故は12日、発生から41年を迎えた。墜落現場の「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)には、早朝から遺族らが慰霊登山に訪れ、登山道に点在する墓標の前で故人をしのんだ。「これからも続けたい」と話す遺族がいる一方、体力面への不安を吐露する人もいた。
妹の淳子さん=当時(20)=を亡くした大阪市の自営業泉谷透さん(67)は、大雨の中、山道を踏み締めるように登った。昨年亡くなった父親の写真を墓標に飾り「あの世で会えたかな」と笑った。「妹は20歳のままだ。普段はあまり考えないようにしているが、ここに来ると思い出す」と悲しみを新たにした。
次男健さん=当時(9)=を亡くした美谷島邦子さん(79)は「(登山は)年々大変になるが、これからもできる限り続けたい」と話し、「日航と安全をともにつくりたい」と力を込めた。
父の南慎二郎さん=当時(54)=が犠牲になった川崎市の内野理佐子さん(66)は、登山に毎年臨み、遺族らとの交流を深める。「『亡くなった人の死を無駄にしたくない』という思いが同じ。父が与えてくれた出会いだ」と語る。ただ体力が衰え「年々きつくなっている」と不安も見せた。
出張帰りの父昭司さん=当時(50)=を失った神奈川県大和市の若本千穂さん(61)は、かつては現実を受け止められず、「『来たくないけど、来なければいけない場所』だった」と明かす。ただ今は「安心する場所」になったという。
墜落現場は、標高約1565メートルの尾根。遺族らは尾根に立つ「昇魂之碑」の前に集まり、鐘を鳴らして空の安全を祈った。日本航空によると、慰霊登山をしたのは49家族162人だった。
麓の「慰霊の園」では午後6時から、遺族や日航の鳥取三津子社長ら関係者らが参列し、追悼慰霊式が営まれた。ろうそくがともされ、事故発生時刻の午後6時56分に全員で黙とうをささげた。
〔写真説明〕妹の淳子さんの墓標に手を合わせる泉谷透さん=12日午前、群馬県上野村
〔写真説明〕日航ジャンボ機墜落事故現場の「昇魂之碑」前で手を合わせる子供=12日午前、群馬県上野村
〔写真説明〕日航機墜落事故の犠牲者を供養するろうそくに火をともす遺族ら=12日午後、群馬県上野村
〔写真説明〕ろうそくがともされる中、犠牲者の氏名が刻まれた碑を見詰める人たち=12日午後、群馬県上野村
〔写真説明〕日航機墜落事故の追悼慰霊式で献花する日本航空の鳥取三津子社長(手前)=12日午後、群馬県上野村
2026年08月12日 19時46分