【ニューヨーク時事】米アラスカ州北部の天然ガスを太平洋に面した南部まで約1300キロのパイプラインで運び、州内にガスを供給するとともにLNG(液化天然ガス)に加工して輸出を目指す「アラスカLNGプロジェクト」。事業を主導する米エネルギー開発企業グレンファーンのアラスカLNG部門トップ、アダム・プレスティッジ氏は時事通信のインタビューで、アラスカからのLNG輸入は輸送日数が短く地政学リスクも低いため、日本などのアジア諸国にメリットがあると強調。建設に向けた技術的な課題についても「不可能なものはない」との認識を示した。
主なやり取りは以下の通り。
―輸入側にとってプロジェクトの利点は。
アラスカLNGが中東や豪州などの競合と異なるのは、埋蔵量の膨大さや政治情勢が安定している点だ。日本をはじめとするアジア諸国にとって、米国は政治的に安定した供給元で、同盟国でもある。また、通常はアジア諸国が米国から調達するLNGはメキシコ湾岸産だが、アラスカLNGは(米国のガス指標価格である)ヘンリー・ハブ指数ではなく、北海ブレント原油連動価格や固定価格に近い条件での供給を顧客と協議している。何よりアラスカから日本への直行航路は6~7日と短く、運河などのチョークポイント(要衝)や地政学的に敏感な地域も存在しない。
―トランプ政権の影響は。
トランプ政権の支援で、プロジェクトの価値や可能性への理解が広がった。米政府がわれわれを支持することで、(事業の)説得力は格段に高まる。また、政権からの支持はトランプ政権に限らない。事業認可はバイデン政権下で取得した。超党派で支持されてきた構想で、米国と日本、韓国、台湾などとの関係にとっても有益だ。
―日本企業に事業への投資を期待するか。
日本はプロジェクトにとって最も重要な市場の一つだ。JERAや東京ガスが、プロジェクトからのLNG調達に関心を示したことを誇りに思う。長期的なパートナーとなることを期待している。だが、アジア太平洋地域のほかの買い手からも大きな関心が寄せられている。日本が購入しなくてもプロジェクトは成功する。日本からの投資については話し合う用意があり前向きだが、(日本が)調達のみにとどまっても、プロジェクトの推進は可能だ。
―445~545億ドル規模と試算する資金調達の状況は。
プロジェクトでは、パイプラインと、液化・輸出設備に分けてそれぞれ資金を調達する。マッコーリー・キャピタルを財務アドバイザーに起用して数十の銀行と協議しており、強い関心が寄せられている。安定したキャッシュフローを生み出すインフラ資産に価値を見出している。
―実現への課題は。
1300キロメートルに及ぶパイプラインが最も困難な部分の一つと認識されているが、詳しく分析すれば技術的に不可能なものはない。北半分は「トランス・アラスカ・パイプライン(既設の石油パイプライン)」に沿って、南半分はアラスカ鉄道に沿って敷設される。未開の地を横断して建設するわけではなく、道路なども整備されている。建設に向けた要素は十分に整っている。
2026年08月12日 07時49分
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