
約20秒の演技の間、気合のこもった10回の声と観客の声援が会場に響き渡った。7日に行われたトランポリンの全日本社会人選手権男子決勝。世界選手権個人銅メダルの宮野隼人(滋賀県スポーツ協会)は最後の着地を決めると、両手で拳を握り締めて喜んだ。連続した10本の跳躍全てを3回宙返りで成功させると、拍手が湧き起こった。
日本体操協会によると、国内初の快挙。「高い難度でやると決めていたから緊張していた。実力が出せて、すごくうれしい」。出場した選手らからグータッチでたたえられ、宮野がSNSに投稿した決勝本番の動画には、海外のオリンピアンらも祝福や驚きの反応を示した。
技の難しさを示す難度点は23.4点。世界選手権で宮野を含む上位3選手の難度点は20.5点前後だった。2~3点ほどの大差がある。「今回の演技構成を五輪につなげたい。演技点なども意識して練習すれば五輪でいい結果が出ると思う」。後半も高さや美しさを維持するために、さらなる体力の向上が必要だ。
個人で初の表彰台に立った世界選手権は、スペインでの開催だった。国内と雰囲気が異なる海外の試合には「苦手意識がある」と言うが「一人ではなくチームみんなで戦うと意識したら緊張がほぐれた」。ワールドカップ(W杯)などの国際大会でもまれてきた23歳は対処法を見いだしつつある。高難度の演技構成で経験を積み、2028年ロサンゼルス五輪代表の座を狙う。
【時事通信社】
〔写真説明〕トランポリンの全日本社会人選手権と同日に行われたジャパンオープン男子で優勝した宮野隼人=7日、川崎市
2025年12月20日 15時06分