納税者の8割が負担減=「年収の壁」引き上げ実現―26年度税制改正



所得税の課税最低ライン「年収の壁」は178万円への引き上げが決まった。年収665万円以下の人が対象となり、納税者の約8割に減税の恩恵がもたらされることになる。政府の試算によると、「壁」引き上げによる減税額は年収200万円の場合4000円、600万円の場合3万6000円と、中所得者により手厚くなっている。

年収の壁は、全ての人に適用される「基礎控除」と会社員らが対象の「給与所得控除」の合計額で、現在は160万円。所得税は年収から各種控除を差し引いた額に税率をかけるため、控除額が増えると税負担は軽くなる。

2026年度税制改正では、消費者物価指数の上昇率に連動させて控除額を2年ごとに見直す仕組みを創設する。26年は基礎控除と給与所得控除を計8万円増額。さらに、2年間の時限措置として年収665万円以下の控除額を上乗せし、178万円に引き上げる。

自民、国民民主、公明の3党は昨年12月、「178万円を目指して引き上げる」ことで合意したものの、自民、公明両党は税収減を懸念し、25年度税制改正では160万円で決着していた。26年度改正に向けた自国間の協議で、自民は低所得者に限定して178万円に引き上げる案を提示したが、国民民主は中所得者にも減税効果を広げる案を譲らず、最終的に自民が受け入れた。

1年越しの決着に国民民主の玉木雄一郎代表は「ミッションコンプリート(任務完了)だ」と成果を強調。一方、政府は今回の見直しで年6500億円の減収が見込まれるとしている。

【時事通信社】 〔写真説明〕「年収の壁」引き上げの合意書に署名した高市早苗首相(右)と国民民主党の玉木雄一郎代表=18日午後、国会内

2025年12月19日 22時28分


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