
アマチュアでの実績を引っ提げ、デビューからエリート街道を歩んできた井上尚弥(大橋)とは対照的に、中谷潤人(M・T)は着実にキャリアを積み重ねてきた。今回の決戦を「お互いが背負ってきたストーリーのぶつかり合い」と表現し、「中谷潤人のベストをお見せしたい」と静かに闘志を燃やす。
「世界王者になる」と誓い、中学で始めたボクシング。卒業後は高校に進学せず単身渡米し、今も指導を受けるルディ・エルナンデス・トレーナーの下で腕を磨いた。「僕だから歩めた道だが、周りの人のサポートがあってここにいられる。感謝を伝えるリングにしたい」と実感を込める。
ここまでの道のりは平たんではなかった。新型コロナウイルス禍で世界初挑戦は2度も延期され、防衛戦を組むことにも苦心。曲折を経て3階級制覇まで成し遂げたからこそ、「キャリアには自信を持っている」。
昨年末のサウジアラビアでのスーパーバンタム級転向初戦は苦戦を強いられた。だが、井上尚陣営の大橋秀行会長は「あの苦戦でもっと強敵になった印象。いろんな課題を克服し強くなる」と警戒。中谷も「自分をより知ることができた。得たものは大きかった」と前向きに捉えている。
世界中が注目する「モンスター」との決戦。井上尚が有利との見解もあるが、中谷は「見返すだけ。5万5000人を魅了するファイトができると思う」と意に介さない。歩んできた道が間違いではなかったと証明するつもりだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕世界スーパーバンタム級主要4団体タイトルマッチに向けて、練習を公開した中谷潤人=23日、相模原市
2026年04月29日 07時12分