
昨年11月に国内で初開催された聴覚障害者の国際大会、デフリンピック東京大会は何をもたらしたか。ヤマハ発動機スポーツ振興財団は20歳以上の男女を対象に大会認知度の調査を実施。東京都内で開かれた報道向けのセミナーで、テニス女子の金メダリスト、菰方里菜(島津製作所)らが社会の変化などについて意見を交わした。
東京大会の認知度は2025年の大会前時点で24.3%だったが、26年には55.4%に。東京都内を対象にすると、大会前の33.3%から大会後には72.4%まで上昇した。菰方は「大会が近づくにつれて知ってくれる方が増え、驚くくらい多くの観客がいた。納得の結果だと思う」とうなずく。
共生社会実現に向けて意義のある大会だったが、厳しい現実も浮き彫りとなった。「聴覚障害者への偏見がなくなった、身近な存在に感じた」との調査項目では、45.7%から大会後に約5%低下。「手話を覚えたい」「聴覚障害の有無にかかわらずスポーツを一緒にできる」などへの回答も数字を落とした。
筑波大の斉藤まゆみ教授は「関心を高めるために開催はプラスに働いた。一方で、態度の変容にはつながっていない」と指摘し、その要因の一つにデフリンピックの競技レベルの低さを挙げる。「期待が高く、見たものとのギャップがあったのかもしれない」と推測する。
競技発展や聴覚障害への理解につなげるため、地道な取り組みが必要と菰方は訴える。テニスの全豪オープンではデフテニス部門も行われていることを踏まえ、「障害がある人が活躍できる場所をつくってもらうことで興味を持ってもらえる。そういうきっかけが少しでも増えればいい」と願った。
【時事通信社】
〔写真説明〕デフリンピック東京大会について意見を述べる同大会テニス女子金メダリストの菰方里菜=5日、東京都内(ヤマハ発動機スポーツ振興財団提供)
2026年09月16日 07時08分