
国土交通省が15日発表した基準地価は、政府が支援するラピダス(東京)が進出した北海道千歳市、台湾積体電路製造(TSMC)がある熊本県菊陽町など、半導体工場周辺の住宅地や商業地の上昇幅が縮小した。建築費の高騰や供給過剰が背景にあるとみられる。ただ、半導体需要の追い風は続いており、工業地は上げ幅の拡大が目立つ。
千歳市では住宅価格が高騰し、割安な恵庭市などに引っ越す人が出ている。この結果、JR千歳駅に近い住宅地の伸び率は15.4%(前年23.2%)に鈍化。上昇率の高い商業地の顔ぶれも様変わりした。昨年は全国の上位10地点のうち3位までを千歳市が独占したが、今年は5位の1地点(前年比25.2%上昇)にとどまった。
一方、同市の工業地上昇率は20.0%(前年14.3%)に拡大。ラピダスは2027年度に最先端半導体の量産開始を目指しており、第2工場の建設も検討している。23年2月の立地表明以降、関連企業の進出は50社(7月末時点)まで増え、ホテル開業も相次ぐ。JR南千歳駅周辺では28年度から工業団地の分譲が始まる予定だ。
TSMCの第1工場周辺地域は「共同住宅が供給過剰になっている」(国交省担当者)という。菊陽町のある地点では住宅地が5.7%(前年12.9%)、商業地が7.0%(19.9%)の上昇にとどまった。しかし、千歳市と同様に工業地は強く、上昇率の高い工業地の全国上位10位に近隣の3地点が入った。菊陽町ではTSMCが第2工場を建設中で、一帯は半導体産業の集積が進む。
全国平均では、商業地は2.9%上昇し5年連続のプラスだった。都道府県庁所在地別の上昇率でみると、東京23区が13.3%上昇し1位。大阪市が12.3%上がり2位だった。いずれも中心部や再開発エリアの強さが際立つ。
オフィス仲介大手の三鬼商事(東京)によると、8月の都心5区の平均空室率は前月から0.08ポイント下がって1.87%となり、需給均衡の目安となる5%を25カ月連続で下回った。三菱地所の中島篤社長は「賃料上昇サイクルは継続している」との見方を示す。
【時事通信社】
〔写真説明〕ラピダスの最先端半導体工場=2025年7月18日、北海道千歳市
〔写真説明〕半導体受託生産世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場(中央左)。中央右は半導体の生産、開発などを行うソニーセミコンダクタマニュファクチャリングの熊本テクノロジーセンター=7月29日、熊本県菊陽町(時事通信チャーター機より)
〔写真説明〕基準地価の最高価格地点となった明治屋銀座ビル=8日、東京都中央区
2026年09月16日 07時05分