
自民党の石井準一参院幹事長(68)が近く行われる党参院人事で交代する見通しとなった。人事権者は松山政司参院議員会長だが、確執があった高市早苗首相(党総裁)の意向が働いたとの見方が党内では大勢だ。「聖域」とされてきた参院人事に首相が手を突っ込んだ形で、与党の過半数割れが続く参院の国会運営に響く可能性がある。
「交代だ」。首相が人事に一任を取り付けた15日の総務会の直後、松山氏は石井氏と党本部で向き合い、参院幹事長の役職を解くと伝えた。
通常の党役員人事と異なり、参院幹事長、参院国対委員長など党参院人事の実質的決定権を持つのは参院議員会長だ。松山氏は周辺に「体調を考慮した」と説明。首相側近も「官邸から何も言っていない」と圧力を否定したが、党内には「首相が放逐した」(関係者)との見方が広がる。
関係者によると、首相は石井氏への不信感を強めている。先の特別国会で首相が2026年度予算の年度内成立を指示したにもかかわらず、参院審議に時間を要し、暫定予算の編成に追い込まれたのがきっかけだ。国会終盤には集中審議などにも応ぜざるを得なくなり、首相の目には「野党と一緒に嫌がらせしている」(周辺)と映った。
石井氏が40人以上とされるグループ「自民党参院クラブ」を旗揚げしたことも首相の警戒心をあおった。首相はグループの所属議員に直接電話し、真意を確かめたこともあったという。
もっとも、党参院人事は歴代首相が手を出したくても出せなかった聖域だ。石井氏は昨年10月に参院幹事長に就いたばかりだけに、参院サイドの抵抗感は強く、有村治子総務会長ら複数の議員が「ポスト石井」の打診を断ったという。
参院国対委員長などを歴任してきた石井氏は国会運営に精通。野党とパイプが太く、先の国会で「副首都」関連法成立に水面下で道筋を付けたのも石井氏だったとされる。秋の臨時国会では複数の与野党対立法案の審議が見込まれ、国対関係者からは「国会が回らなくなる」との声も漏れる。
国会運営以外に影響が広がる可能性も否定できない。首相が今回の内閣改造・党役員人事で狙うのは党内基盤の安定化だが、石井氏が首相に対する反発を強めれば、来年の党総裁選に向けて火種になる恐れもある。党関係者は「党内は来年の総裁選に向けて走り始める」と予言した。
【時事通信社】
〔写真説明〕自民党の総務会に臨む石井準一参院幹事長=15日午後、東京・永田町の同党本部
〔写真説明〕閣議に臨む高市早苗首相(右から3人目)=15日午前、首相官邸
〔写真説明〕自民党の総務会に臨む有村治子総務会長(左から2人目)ら=15日午後、東京・永田町の同党本部
2026年09月16日 07時29分