元大関の挑戦を難なくはね返した。単独トップを守った照ノ富士。6場所ぶりの賜杯獲得に王手をかけても、「勝てたことがよかった」と淡々。飾らない言葉で朝乃山との一番を振り返った。
過去5戦全勝だった相手とは、久々の顔合わせ。「土俵に上がると、何が起こるか分からない」と油断はなかった。左差しを許して攻め込まれたが、小手投げで転がした。
土俵下の浅香山審判長(元大関魁皇)は横綱について、「仕切りの時から気迫を感じた」と言った。4場所連続の休場明けで、12日目の取組後には古傷を抱える両膝を気にする場面も。自身と向き合いながら、気力を振り絞って戦っている。
今場所前に体調に関して聞かれた際、「ああだ、こうだと言うのは早い。場所で相撲を取ってみないと分からない」と多くを語らなかった。白星を積み重ねて土俵を締め、番付の頂点に立つ者としての責任を果たしてきた。
場所前にあった周囲の不安は、日を追うごとに強い横綱の復活への期待に変わってきた。「ベストを尽くしてきた。ここまでは悪くないんじゃないか」と表情に自信が宿る。機は熟した。
【時事通信社】
〔写真説明〕照ノ富士(右)は小手投げで朝乃山を下す=26日、東京・両国国技館
2023年05月26日 20時40分