トランプ米政権の関税措置見直しを求める日米交渉は相互関税の上乗せ部分の適用停止期限が7月9日に迫る中、焦点となる自動車追加関税の見直しを含めて合意の見通しが立たない状況だ。米国訪問を終えた赤沢亮正経済再生担当相は30日、首相官邸で石破茂首相に交渉状況を報告。終了後、記者団に「事務レベル協議をやり、その結果を踏まえ閣僚間で協議する」と述べる一方、次回の閣僚交渉の日程は決まっていないと明かした。
赤沢氏は26日から訪米し、7回目の関税交渉に臨んだ。ラトニック商務長官とは対面や電話で協議する一方、ベセント財務長官との会談は、当初29日としていた帰国日程を延長して調整を進めたが実現しなかった。赤沢氏は、次回の閣僚級交渉の実施は「事務レベル協議の進展を見ないと何とも言えない」と述べるにとどめた。
自動車追加関税を巡る交渉は一段と厳しさを増している。トランプ大統領は29日放送された米FOXニュースのインタビューで、日本との自動車貿易について「不公平だ」と指摘し、日本に対し「自動車には25%の関税がかかるという書簡を送ることができる」と発言した。赤沢氏はトランプ氏の発言について記者団に「コメントは控える」と論評を避けた。首相との面会でも発言が話題になることはなかったという。
日本は6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)の際の日米首脳会談に照準を合わせ、米国による自動車やエネルギー関連の輸出拡大への協力などを提示。自動車を含む関税措置見直しとパッケージでの合意を目指したが、見送られた。
政府関係者によると、米側は半導体や医療分野での対米投資の拡大などを新たに要求。トランプ氏はインタビューでは「日本は大量の原油を受け入れることができる。他にも多くのものを買える」と畳み掛けた。赤沢氏は30日、交渉の現状に関し「事務的に積み上げる必要がある」と説明。日本は今後、交渉方針の練り直しを迫られる可能性もある。
【時事通信社】
〔写真説明〕7回目の日米関税交渉について石破茂首相に報告後、取材に応じる赤沢亮正経済再生担当相=30日午後、首相官邸
2025年07月01日 08時03分