石破茂首相が自民党衆院議員に商品券10万円を配布していた問題に関連し、岸田文雄前首相も在任中に同党議員に商品券を配っていたことが分かった。党関係者が19日明らかにした。菅義偉元首相の事務所は「手土産を差し上げたことはある」と文書で答えた。自民内で金品を渡すことが常態化していた可能性があり、野党は追及を強める方針だ。
岸田氏は2021年10月から3年間、首相を務めた。関係者によると、自民議員は政務官や副大臣に就任すると首相公邸での会合に招かれ、事前に岸田氏の事務所関係者が議員宛てに紙袋を持参。菓子と商品券が入っていたという。
岸田氏の事務所は取材に対し「会合は法令に従い適正に行っている。それ以上についてコメントは差し控えたい」と文書で回答した。
菅氏の事務所は「首相在任中はコロナ禍で思うように会合ができない時期だった」と説明。その上で「それ以外の時期においても、手土産を差し上げたことはあるが、法令の範囲内で適正に行っている」と答えた。
麻生太郎元首相の事務所は、商品券を配布したことは「ない」と明言した。
また、複数の自民関係者は第2次安倍政権でも商品券が配られていたと証言。中堅議員は「政務官になったときに安倍晋三首相(当時)から公邸での会食に呼ばれて受け取った。10万円だったと思う」と語った。
石破首相は19日の参院予算委員会で、自身の商品券配布について「政治活動に使ってくださいという意図は毛頭ない」と重ねて違法性を否定。岸田氏の配布に関しては「コメントする立場にない」と述べるにとどめた。立憲民主党の小沼巧氏への答弁。
立民の野田佳彦代表は記者団に「構造的に根深い問題になってきた」と指摘。国会で首相を追及する考えを示した。公明党の岡本三成政調会長は記者会見で「慣習化されていたら不適切だ。疑念があるなら歴代首相も(説明の)機会を見つけていただくのが望ましい」と訴えた。
【時事通信社】
〔写真説明〕岸田文雄前首相(写真左)と菅義偉元首相
2025年03月19日 20時00分