【北京時事】中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は8日、モスクワで会談した。両首脳の対面会談は第2次トランプ米政権発足後初めて。中ロの戦略的連携を「揺るぎなく深化させる」ことで合意し、対米共闘の観点から緊密な連携を内外に誇示した。
中国外務省によると、習氏は会談で、各国への高関税政策を掲げるトランプ政権を念頭に「国際社会は一国主義と強権、いじめ行為に直面している」と主張。ロシアと協力して「平等で秩序ある世界の多極化と経済のグローバル化」を進めたいと語った。貿易やエネルギー、宇宙や人工知能(AI)分野などでのロシアとの協力強化に意欲を示した。
プーチン氏は「高関税の賦課は常識に反しており、自身に跳ね返るだけだ。一国主義と制裁の乱用に共に反対していく」と応じ、対米で中国と足並みをそろえる姿勢を強調した。
会談後、両首脳は中ロの関係強化をうたった共同声明に署名。経済や投資などに関する20以上の協力文書が交わされた。
首脳会談では、ロシアが侵攻を続けるウクライナとの停戦を巡る交渉の進展や、北朝鮮との軍事協力についてプーチン氏が習氏に説明した可能性がある。ロシア産天然ガスを中国へ輸送するパイプライン「シベリアの力2」の建設計画についても話し合ったもようだ。
表向きは「蜜月」を維持する中ロだが、習政権は、ロシアに融和的な姿勢を見せるトランプ政権の動きを警戒。中国が長年後ろ盾を務めてきた北朝鮮が対ロ支援の派兵を続けていることにも不快感を抱いているとされる。
【時事通信社】
〔写真説明〕8日、モスクワのクレムリン(ロシア大統領府)で握手するプーチン大統領(右)と中国の習近平国家主席(ロイター時事)
2025年05月09日 13時33分